ホームページを作ったのに、問い合わせが来ない。アクセス解析を開いても、そもそも人が来ていない。
そう感じているとき、多くの方はまずデザインを疑います。もう少し今風にしたほうがいいのだろうか、写真を差し替えたほうがいいのだろうか、と。
ですが実際にサイトを診断してみると、ホームページで集客できない原因がデザインの外側にあることは珍しくありません。見た目からは分からないところで、検索エンジンにサイトが正しく認識されていない。そういうケースがかなり多いのです。
この記事では、実際に診断した1つのサイトを例に、何が起きていたのかを数字で追っていきます。一般論ではなく、1サイト分の実測データです。
診断したサイトは、1年で流入が95%減っていました
どんなサイトだったか
名古屋市で4店舗を展開するトリミングサロンのサイトです。実在するサイトの診断例ですが、店舗名とドメインは伏せます。
開業から数年が経ち、ページ数は1,000を超えていました。ブログも定期的に更新されていて、作りっぱなしで放置されたサイトではありません。
にもかかわらず、検索からの流入は1年間で約95%減っていました。以前100人来ていたところに、5人しか来ていない水準です。

サイト自体は「きれい」でした
ここが大事なところだと思っています。
このサイトは、見た目に問題がありませんでした。スマートフォンでもきちんと表示され、写真にも清潔感があり、料金表も分かりやすく整理されている。制作会社が丁寧に作ったサイトです。
「うちのサイトもデザインは悪くないはずなのに」と感じている方は多いと思います。実際、その感覚はたいてい正しいです。問題は別の層にあります。
競合と比べると、土台では勝っていました
ドメインの評価もページ数も上だった
原因を探すために、同じ地域で検索上位に出ている競合サロンのサイトと比較しました。
意外だったのは、土台の指標では診断したサイトのほうが上だったことです。運営年数も長く、ドメインの評価も高く、ページ数も多い。条件だけを見れば、検索で勝っていてもおかしくない状態でした。

それなのに流入は9倍の差がついていた
結果は逆でした。検索からの流入は、競合のほうが約9倍多かったのです。
条件で勝っているのに、結果で負けている。この「ねじれ」が起きているとき、原因はコンテンツの質でも更新頻度でもなく、サイトの構造にあることがほとんどです。
原因は、1,000ページのうち824ページが同じ扱いになっていたことでした
サイト全体をクロールして調べたところ、原因が特定できました。
1,000を超えるページのうち、824ページが同じタイトルと同じ説明文を持っていたのです。
「同じタイトル」とは、何が起きている状態か
Webページには、検索結果に見出しとして表示される「タイトル」と、その下に出る短い説明文が設定されています。本でいえば、背表紙にあたるものです。
このサイトでは、824ページの背表紙に、まったく同じ文字が書かれていました。
料金ページ、アクセスページ、スタッフ紹介といった記事ページは、それぞれ違うタイトルを持っています。だから検索結果でも、別々のページとして扱われます。
一方、824ページのほうは全部が「◯◯サロン|名古屋市」という同じタイトルでした。検索エンジンから見ると、これは中身の違うページが824個あるのではなく、同じページが824個並んでいるのと変わりません。
そうなると、検索エンジンはそれらを1つにまとめて扱います。824ページ分の労力をかけていても、検索結果に出せる枠は実質1つしかない、という状態です。
なぜ、こうなってしまうのか
ここで誤解していただきたくないのは、制作会社が手を抜いたわけではないということです。
WordPressをはじめとする多くのシステムでは、記事を1本書くと、それに付随するページが自動的に作られます。
- カテゴリごとの一覧ページ
- タグごとの一覧ページ
- 記事が増えたときの2ページ目、3ページ目(ページ送り)
- 年別・月別のアーカイブページ
これらは記事を書くたびに、静かに増えていきます。そして初期設定のままだと、これらのページはサイト名をそのままタイトルに使います。
数がどう膨らむのか、簡単な例で考えてみます。仮に記事が300本あるサイトで、カテゴリを10個、タグを80個使っていたとします。
- 記事そのもの … 300ページ
- カテゴリ一覧 … 10ページ
- タグ一覧 … 80ページ
- それぞれの一覧の2ページ目、3ページ目 … 数十〜数百ページ
- 年別・月別のアーカイブ … 数十ページ
記事は300本しか書いていないのに、URLの数はその2倍以上になります。しかもこの増えたぶんは、管理画面の「投稿一覧」には出てきません。サイトを運営している本人からは見えないところで増えていくのが、この問題のやっかいなところです。
つまり、真面目に更新を続けたサイトほど、この状態になりやすいのです。診断したサイトのページ数が1,000を超えていたのは、きちんと運用されていた証拠でもありました。放置していたら、こうはなりません。
では、どう直すのか
方向性としては3つあります。
ひとつは、一覧ページやページ送りを検索エンジンに登録させない設定にすること。これらのページは訪問者にとっては便利でも、検索結果に出す必要はほとんどありません。
ふたつめは、残すページのタイトルを個別に設定し直すこと。「カテゴリ:シャンプー|◯◯サロン」のように、それぞれ違う内容にしていきます。
みっつめは、そもそも使っていないタグやカテゴリを整理すること。増やしただけで機能していない分類は、そのぶんページを生んでいます。
いずれもWordPressの設定とテンプレートの修正で対応できますが、1,000ページ規模になると、どのページをどう扱うかの判断が必要になります。そして検索エンジンの認識が変わるまでには、数か月かかります。今日直して来週から流入が戻る、という種類の作業ではありません。
この原因は、見た目をどれだけ直しても解決しません
ここまで読んで、「うちも同じかもしれない」と思われた方がいるかもしれません。
サイトの数字が伸びない原因は、大きく3つの層に分かれます。
| 層 | 何を見るか |
|---|---|
| SEOの層 | 検索エンジンからサイトがどう見えているか |
| コードの層 | サイトの中身がどう作られているか |
| デザインの層 | 訪問者の目にどう映るか |
今回の824ページの問題は、SEOとコードの層で起きています。デザインの層をどれだけ直しても、この問題は動きません。
リニューアルしたのに数字が変わらなかった、という話をよく聞きます。その多くは、デザインの層だけを作り直して、下の2層をそのまま引き継いでしまったケースです。見た目が新しくなっても、824ページが同じタイトルのままなら、検索エンジンから見た状態は何ひとつ変わっていません。
自分のサイトで同じことが起きていないか、確認する方法
専門家に頼まなくても、ある程度は自分で確認できます。手順を書いておきます。
Search Consoleで重複を見つける
Google Search Consoleを導入していれば、数分で確認できます。

もしここに「重複しています。ユーザーにより正規ページとして選択されていません」「代替ページ(適切な canonical タグあり)」といった項目が数百ページ単位で並んでいたら、記事で紹介したサイトと同じ状態です。
- Search Consoleにログインする
- 左メニューの「ページ」(インデックス作成)を開く
- 上部の「登録済み」と「未登録」の件数を比べる
- 「ページがインデックスに登録されなかった理由」の一覧を下にスクロールする
- 次の項目があるかどうかを見る
見つけたいのは、この3つです。
- 重複しています。ユーザーにより正規ページとして選択されていません
- 重複しています。Googleにより、ユーザーが指定したページとは異なるページが正規ページとして選択されました
- 代替ページ(適切な canonical タグあり)
ここに数百ページ単位の数字が出ていたら、今回と同じ状態の可能性が高いです。「未登録」が「登録済み」より多いサイトは、それだけで一度点検したほうがいいと思います。
site: 検索で、おおよその規模を掴む
もっと手軽な方法もあります。Googleの検索窓に、次のように入力してみてください。
site:あなたのドメイン
表示される件数が、検索エンジンが把握しているページ数のおおよその目安です。この数字が「自分で作った覚えのあるページ数」よりずっと多い場合、自動生成されたページが大量に含まれています。
さらに、並んでいるタイトルを見てください。同じタイトルが何度も繰り返し出てきていたら、今回のケースと同じです。
3分でできる自己チェック
- site: 検索の件数が、実際に作ったページ数より極端に多い
- 検索結果に同じタイトルが何度も出てくる
- Search Consoleの「登録されていないページ」が数百件ある
- カテゴリやタグを、あまり考えずに増やしてきた
- リニューアルしたのに、検索からの流入が変わらなかった
2つ以上あてはまるようなら、一度きちんと調べてみる価値があると思います。
検索だけに頼らない集客ルートも用意しておく
ここまで検索の話をしてきましたが、検索だけに依存するのも、それはそれでリスクがあります。検索エンジンの評価基準は変わりますし、最近は検索結果の上部にAIによる回答が表示されるようになって、サイトへのクリックそのものが減る傾向にあります。
現実的な備えとしては、次の3つで十分だと思います。
Googleビジネスプロフィール。 店舗型のビジネスなら、これは検索対策と並ぶ柱です。「地域名+業種」で地図と一緒に表示される枠は、通常の検索結果より目に入りやすい位置にあります。しかも無料で、写真とクチコミの管理が中心なので、社内で運用できます。
SNS。 全部やる必要はありません。写真が強い業種ならInstagram、というように、自分の商材と相性のいいものを1つに絞ったほうが続きます。
既存のお客様からの紹介。 地味ですが、成約率がいちばん高いルートです。この場合サイトは集客の入口ではなく、紹介された人が「ちゃんとしたお店かどうか」を確認する場所として機能します。ここで不安を与えなければ、それで役割は果たしています。
原因が分かっても、直せなければ数字は動きません
最後に、業者を選ぶときの話をさせてください。
今回のようなケースで困るのは、原因の特定と、その修正が、別の会社の仕事になっていることが多いという点です。
一般的には、こういう流れになります。
- SEO会社が調査して、提案書を出す
- 制作会社がそれを読んで、実装する
- デザイナーが見た目の部分を直す
問題は、この間で毎回「伝言」が発生することです。提案書に「重複しているタイトルを個別に設定してください」と書かれていても、それを受け取った制作会社が意図を汲みきれなければ、実装は中途半端になります。そして誰も悪くないまま、施策だけが止まります。
もし業者を選ぶ機会があれば、原因を特定した人が、そのまま直せるかどうかを確認してみてください。分析と実装が分かれていないほうが、途中で止まりにくくなります。
よくある質問
ホームページを作れば集客できますか?
作っただけでは、ほとんどの場合集客はできません。ホームページは、検索エンジンに正しく認識されて、はじめて人が来る入口になります。今回の事例のように、1,000ページあっても検索結果に出せる枠が実質1つしかない、という状態は珍しくありません。
ホームページで集客できるようになるまで、どれくらいかかりますか?
構造上の問題を直す場合、検索エンジンの認識が変わるまでに3か月から半年ほどかかります。ページ数が多いサイトほど、再評価に時間がかかります。すぐに結果が出る作業ではないので、着手は早いほうが有利です。
リニューアルすれば、集客は改善しますか?
見た目だけを作り直すリニューアルでは、改善しないことが多いです。今回のようにSEOやコードの層に原因がある場合、デザインを新しくしても検索エンジンから見た状態は変わりません。リニューアルの前に、まず原因がどの層にあるのかを確かめることをおすすめします。
集客できないホームページに共通する特徴はありますか?
診断していてよく見かけるのは、「ページ数は多いのに、検索エンジンに登録されているページが極端に少ない」という状態です。更新を頑張っているのに数字が動かないサイトは、たいていこのパターンに当てはまります。
まとめ
ホームページで集客できないとき、原因は目に見えるところにあるとは限りません。
今回診断したサイトは、デザインもきれいで、更新も続けられていて、土台の指標では競合に勝っていました。それでも流入は1年で95%減り、競合とは9倍の差がついていた。原因は、1,000ページのうち824ページが同じタイトルを持っていたという、画面を見ているだけでは絶対に分からない部分にありました。
大事なのは、直す前に原因を特定することだと思います。原因が分からないままリニューアルしても、しばらくして同じ場所に戻ってくるだけになってしまいます。
まずはご自身で、site: 検索とSearch Consoleを見てみてください。それだけでも、だいたいの見当はつきます。
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